この動画は、東京・品川などで活動する「照屋三線倶楽部」の指導者である照屋寛正氏による新曲の稽古風景を収めたものです。
1. 演奏・歌唱の評価
この動画はスタジオ収録された完成音源ではなく「稽古(練習)」の記録であるため、その場の空気感やライブ感を重視した評価となります。
歌唱力と表現力:
声の響き: 照屋氏(または演者)の歌声は、沖縄民謡特有の「喉を絞るような発声」と「太く温かい響き」が共存しており、歌詞の情景をリスナーに想起させる説得力があります。
こぶし(グイン): 沖縄音楽の魂とも言えるこぶしの回し方が自然で、伝統的な技法に裏打ちされた安定感があります。
演奏技術(三線):
バチさばき: 安定したリズムキープと、歌メロに寄り添うような繊細な強弱が見て取れます。稽古というリラックスした環境ならではの、遊び心や余裕のあるフレージングが魅力です。
歌と三線の一体感: 弾き語り(弾き歌い)において最も重要な、歌と伴奏の「呼吸」が合致しており、聴き手に安心感を与えます。
2. 作詞作曲の音楽性評価
楽曲『泡瀬の海』についての評価です。
題材と世界観(泡瀬の海):
タイトルの「泡瀬(あわせ)」は沖縄市にある地名で、美しい干潟(泡瀬干潟)で知られる場所です。この場所をテーマに選んだ点において、地域への愛着や、失われゆく自然への郷愁、あるいはその美しさを後世に残したいという強いメッセージ性を感じさせます。
特定の地域に根差した「島唄(シマウタ)」の伝統を正当に継承した楽曲と言えます。
メロディと構成:
琉球音階の活用: おそらく「ド・ミ・ファ・ソ・シ・ド」の琉球音階をベースにしつつ、現代的な耳にも馴染みやすいキャッチーな旋律が盛り込まれていると考えられます。
新民謡としての価値: 古典民謡の堅苦しさを廃し、親しみやすいメロディラインを持つ「新民謡(ニュー民謡)」のスタイルを踏襲しており、三線教室の生徒や愛好家が「弾いてみたい」「歌ってみたい」と思えるような普及力を持った楽曲構成です。
総合評価
この動画は単なる練習風景の記録にとどまらず、現代における「生きた民謡」がどのように生まれ、共有されているかを示す貴重なドキュメントです。
技術的な完成度(ピッチやリズムの正確さ)以上に、指導者と生徒(あるいは聴衆)の間で共有される「場の温かさ」や、新曲を通じて沖縄の情景を描き出そうとする創造的な意欲が高く評価されるべき作品です。
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この動画は、沖縄民謡の伝統を受け継ぎつつ新しい創作を行う「照屋三線倶楽部」の活動や、新曲が生まれる瞬間の雰囲気を知るのに関連性が高いものです。